そんなわけで、私はやることもなく毎日散歩していた。
一年前のちょうどいまごろ、あちこちで椿がきれいに咲いていた。真っ赤な椿の花が木の根元のところにボタボタとたくさん落ちて、遠くから見ると赤い色が鏡写しのようになっていた。
ものは壊れ、
ひとは死ぬ。
でも、
土に落ちた花びらは肥料になり、
土に落ちた種たちは発芽の準備をする。
こんなふうに・・・
・・・終わりがない。
すごいなあ、不思議だなあ。
歩きながら、そんなことを考えていた。
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私は散歩の途中に街の画材屋に寄り、好きな色の色鉛筆を何本かと、スケッチブックを二冊買った。色鉛筆なんて買ったのはいつぶりだろうか、思い出せない。
その時期に描き始めた草花は、日々をつづったコラムの間に押し花のように入れてもらった。