5月が終わろうとしている。
今年の年明け、自分に誓った宣言がある。その一つが、「体育会系になる」というものだった。自分で言うのもなんだけど、もともとは天真爛漫な?体育会系女子だったのだ。子どもの頃はバレエ、新体操をやっていたし、かけっこだって早かったし、中高とソフトボール部の部長(キャッチャー)だった。
それが変わってきたのは多分大学の演劇サークルに入部した頃だ。分厚い瓶底のようなメガネをかけた(しかも片方はひび割れてセロテープで貼っていた)先輩に「君は不幸が足りないよ」と忠告されてからというもの、私はドストエフスキー『罪と罰』をはじめ、なるべく苦しそうなタイトルの本を手にとるようになり、暇さえあれば本を読むという習慣が身についてしまった。
「役者の仕事は待つこと」とは誰が言ったか、本当に「待つ」ことが多い。役がくるのを待つ、役がきても自分の出番まで何時間も待つ。砂漠で雨乞いをする流浪の民にでもなったような気分になることもある。
そして、その「待ち方」にそれぞれの個性が出る。ある先輩俳優のNさんは、撮影の空き時間に近くのジムでボルダリング(ロッククライミング)をしてきたと聞いて驚いた。またある老俳優のKさんは、昼の撮影の後に銭湯へ行ってさっぱりして戻ってきたら、メイクさんに「次は死んでるシーンなのにお肌がツヤツヤじゃないですか!」と叱られたという。うまく待つというのは難しい。
そういう私はというと、やはり本を読むことが多かった。休日などは図書館に行って、予約していた本の山積みタワーをカウンターで受け取るということもしばしばだった。で、今年は冒頭の「体育会系宣言」もあり、まず図書館通いをやめてみようと思った。いわゆる「活字離れ」を自分に課したのだ。
数ヶ月は本なし生活はうまく行っていた。が、今月に入ってそれは破られた。今、私の机の両脇には本が積み重なっている・・・。
(つづく)