楽しくもあり楽しくもなし
2023年3月11日土曜日
2023年3月10日金曜日
BUSY BODY
長屋の発想
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嬉しい偶然
2023年1月26日木曜日
父母と『思春期』の話
2023年1月5日木曜日
新年
毎年、お正月に日本舞踊のお稽古場の近くの神社で、奉納舞踊を踊らせていただいている。今年は、商売繁昌の門付の踊り「萬歳」と民謡「伊予節」を踊った。
あるお師匠さんから「いい踊りを踊るね」と声をかけてもらい、嬉しかった。いつだったか、私の踊りのA先生が、「庭の落ち葉をはくように、自然に踊るのがいい踊りなのよ」と言われたことを思い出す。いつかそんなふうに舞台にいたい。
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今年も長島の漁師さんから立派な鰤が届く。ありがたい。映画『夕陽のあと』の撮影で出会って以来のご縁。長島の青い海を思い出しながら、お刺身や鰤シャブにして、美味しくいただく。
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昨晩は、仕事仲間のOさん、Mさんと、ささやかな新年会をした。帰り際に、それぞれ今年の抱負を三つのキーワードにして出しあった。ほろ酔いの自分から出てきた言葉は、「新しいこと」「無我」「古典」だった。
今年は、初心に戻って、自分をゼロにして、予想もしなかった世界を楽しみたい。
2022年12月25日日曜日
印象スケッチ
心揺さぶられる展示を観た
沖潤子さんの刺繍
祈りのテンポで
激しさと 優しさが クロスする
傷口をゆっくり修復するような糸の道
ひと月にひとつの祈りの形を縫い上げる
縫うことが祈り 沈黙し 手を動かす
いつも○から始まる
小さな○
好きなだけ広がってく○
魂が納得するまで
いつのまにか傷は模様になっていた
こんなふうに縫われてみたいのだ
こんなふうに縫ってあげたいのだ
言葉のない世界で
どこまでも
(後半の刺繍群を見て)
ひとつの○に、ひとつの魂
あまたの○が、凝固して形をなしている
あまたの○が集まって「レモン」になっている
たくさんの○が溢れて「ザクロ」になっている
言葉や名前はあとから来た
今だって本当は、
ただたくさんの○が集まっているだけ
すでにあるものと「まざりあいたい」と作家は語る
まざりあうためには
分け隔てるものをとりはらうこと
名前や言葉でくくられた存在を、
その呪縛から自由にすること
ほどくこと
2022年12月7日水曜日
今年もあと少し(追記あり)
来週はいよいよ舞台「沈丁花」の幕が開く。
今回は、生演奏もオリジナルの歌もすごく素敵だし、とにかくアンサンブルの方達のチームワークが素晴らしく、稽古を見ながら何度も目頭が熱くなる。
どうか、無事に幕が開きますように。そして、最後までみんなで走り切れますように。
今年、最初で最後の神頼み。
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写真のお花をくれたのは、先日の朗読劇「シリーズ恋文」で岐阜の可児市に滞在中に出会った素敵なお店「こばやし」の娘さんから。お父さんと娘さん二人で切り盛りしていて、何を食べても感動的に美味しかった。行った日はちょうど彼女の誕生日だった。
「好きな色は?」と聞かれ、「ブルー」と答えると、翌日の本番を観に来てくれて、楽屋までお花を届けてくれた。たった二日間の公演だったけれど、いろんな出会いや体験があって忘れられない時間になった。
さあ、二〇二二年最後の大仕事に臨むぞ〜〜!
KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで、お待ちしています。
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追記
無事に千秋楽を迎えることができました。
毎日、奈落で震えながら、祈るように芝居をした。終わってみれば、懐かしい故郷に帰ってきたような、自分の芝居の原風景に立ち戻ったような感覚があった。
一生忘れられない体験になりそう。感謝です。みんなありがとう。
2022年11月11日金曜日
美しい街
引越しをした前の住所に、友人から詩集が贈られてきた。ポストに届いてしまったようなので、散歩がてら以前住んでいた街まで行ってみる。
「十一月の朗読劇、楽しみにしていたけど、岐阜まで行くのは難しそうなので、好きな詩人の詩集を送ります。」
とのことだった。
歩きながら後ろからめくって読み始めたけど、とてもいい。どのページも、いいなあ。ゆっくり読もう。
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岐阜の可児市で、朗読劇「シリーズ恋文」に出演します。
さまざまな年代の方が実際に書いた恋文を、二人の俳優が語るという企画で、もう十二回も続いているそう。共演は、北村有起哉さん。構成・演出は藤井ごうさん。ピアノの生演奏は黒木由香さん。
「シリーズ恋文」の三年目のパンフレットに載せられたという文章がとても素敵だった。
“木綿のような素材で、ぬくもりのある言葉の数々だ。心を洗うような恋文を編み出します。この恋文ある心の模様は、いつでも、いつまでも、私たちが忘れないでいたい。生きるための艶のようなものです。”
こんなワクワクする企画に参加できて嬉しい。お近くの方、よかったら見に来てください。
日にち:11/26(土)と11/27(日) 会場:可児市文化創造センター・小劇場
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それぞれの恋文をイメージして曲を集めてみたら、すごく優しい音の花束のようになった。 この曲たちのように、暖かい心を届けられたらいいな。
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2022年11月10日木曜日
一輪挿しシリーズ in 長野🌹
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どこもかしこも紅葉で美しかった。 |
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野生の草花がそこらじゅうに。 |
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斎藤さんの作るご飯はいつも美味しい。 |
2022年10月13日木曜日
再会。
J-WAVE、二度目の訪問。
今回は長谷川ミラさんの『START LINE』という番組に出演させてもらいました。
前回、川田十夢さんのラジオ番組『INNOVATION WORLD』の収録後に廊下を歩いて帰ろうとすると、後ろから「真歩さぁぁぁーーーん!」と大声でこちらに走ってくる金髪の美人が見えた。初め誰かわからなかったけれど、長谷川ミラさんだった。彼女とは8年前に下北沢で一緒の舞台に立ったご縁があり、そのころ彼女はまだ高校生だった。
J-WAVEの廊下での再会がきっかけで、彼女の番組に呼んでいただき、短い時間ではあったけれど深いテーマを二人でいろいろ語り合うことができた。ミラさんの私を見つめるまっすぐな瞳が印象に残った。
10月14日、21日、28日(金)の18時50分頃~18時55分頃に登場予定です。よかったら聞いてください。
◆番組名:START LINE
◆放送局名:J-WAVE 81.3FM
◆放送時間:毎週金曜日16:30-20:00
◆ナビゲーター:長谷川ミラ
2022年9月6日火曜日
夏も終わり
今回は、『緑はよみがえる』という映画のことを、日々感じていたことなども織り交ぜて書いてみました。「戦争とは休む事なく世界を歩きまわる醜い獣である」——これは映画の最後に引用されていた印象深い言葉。その“醜い獣”の身体は目に見えにくいけれど、よく耳を澄ませると“音”によって様々な姿で現れていると思った。
“音”がとても繊細で美しい作品なので、ぜひ良いスピーカーかヘッドホンで観てもらいたいです。
そして、今回も朗読つき。音楽はてんこまつりさん。朗読にあとから音楽をつけるのは、詩集にイラストを添えるくらい難しい作業な気がするのだけど(やったことがないので分からないけど)、彼女は「声を聞いていたら自然に音が生まれてきました」と言ってくれた。
目で読んでも、耳で聞いても、それぞれに楽しんでもらえたら嬉しいです。どこかにいるあなたへ届きますように。
↓ ↓ ↓
(※ポッドキャスト版では、朗読の最後に担当編集者の川口ミリさんからの一言コメントも聞けます。)
2022年8月17日水曜日
終わりの始まり
先日、『時代革命』というドキュメンタリー映画を観に行った。
香港で起きた民主化デモの最前線。堅牢な黒い壁に次から次へと体当たりしていく、柔らかい無数の生卵のような香港の人たちの姿が映されていた。途中、泣きすぎて気分が悪くなって出ようかと思ったけれど、最後まで見届けようと思った。エンドロールが終わって席を立ち上がるときは、ふらふらした。すすり泣きがあちこちから聞こえていた。
「水になる」という柔軟に闘いつづける作戦のこと。「終わりの始まり。始まりの終わり。」という言葉が心に残った。その日はちょうど七十七年目の終戦記念日だったのだけど、何一つ終ってない気がした。
いま読んでいる香港の作家、ホン・ライチューの小説『秘密警察』に出てくる〈瀕死の猫〉のことを思った。やはり、あの〈猫〉は、もしかしたら自由意志の象徴かもしれない。知らぬうちに奪われていく自由を取り返すために、主張して闘って、ボロボロになった魂かもしれない。
2022年7月27日水曜日
夏です
新宿を歩いていると、広告やキャッチコピーの“言葉”がたくさん溢れている。大抵はすぐに消えていってしまうのだけど、その中で、ときどき滞空時間の長い“言葉”に出会うことがあった。そこを通り過ぎたあとも、しばらく心の中に残像のように残っている不思議な言葉。
尾形真理子さんという方の言葉だと後から知った。
だから今年の春に、尾形真理子さんの小説『隣人の愛を知れ』のAudibleの朗読のオファーが来た時はとても嬉しかった。と同時に、小説を読んで「これは責任重大だ…」と緊張と興奮でふるえた。年齢も境遇もバラバラの、六人の女性の独り語りという形式をとって物語が織りなされていく。落語家なら朝飯前かもしれないけれど、身体の中がカオスになった。とにかく、来る日も来る日も小説を声に出して読むという日々を送っていた。
それぞれの女性のイメージを保てるように、自分なりに音楽のプレイリストを作ったり、小説に出てくる場所を一つ一つ実際に歩いてみたりした。これらの作業は息抜きにもなったし、楽しかった。
録音の最終日、三ヵ月間、朝から晩まで一緒に過ごした六人の登場人物と別れるのはさみしかった。彼女たち全員が愛おしい、と思った。
『隣人の愛を知れ』登場人物のテーマソング(注:私個人のイメージです)
ひかり CEO of Watching Television (Ellie Dixon)
莉里 Two Moons (Erika Dohi)
知歌 海がきこえる (永田茂)
青子 Isn't It a Pity (Nina Simone) / Run From Me (Timber Timbre)
ヨウ Walk On The Wild Side (Suzanne Vega)
美智子 Christmas Lullaby (Arvo Pärt)
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この間、写真家の大森めぐみさんが写真を撮ってくれた。彼女がカメラを持ったとき、二子玉川の河原の空間が濃度を増した気がした。
初めて会ったのに、ずっと親しい誰かを見つめているような気がして、不思議な時間だった。
2022年6月28日火曜日
声のこと
コロナで人と会えなくなった頃から思っていたことがある。それは、「触れ合わずとも、触れ合えるものって何だろう?」ということだった。なぞなぞみたいだけど。
いつのまにか、遠く離れている人の声をよく聞くようになった。そのうちに、自分の声をボイスメモに吹き込んで、誰かに手紙のように送るようになった。
声は、触れ合わずに、心で触れ合うことの出来るもの一つだと思う、今日この頃です。
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最近の声 ①
映画のコラムサイトPINTSCOPEの連載「やっほー!シネマ」が更新されました。今回は、古いアルバムをめくりながら、子ども時代のことを思い出して書いてみました。
しかも、なんと今回は“朗読”つき……。初の試みで、PINTSCOPE編集部の方たちとわいわい言いながら録音しました。ポッドキャストでも聴けるとのこと。ポッドキャスト版では、いつも私の担当編集をしてくれている川口ミリさんからの一言コメント(裏話)も聞けて面白いです。
文字で読むのと、声で聞くのは、どんなふうに印象が違うのだろう? 感想が楽しみです。
そして、私の声にそっと寄り添うように素敵な音楽を、てんこまつりさんが作曲してくれました。前回のコラムでも紹介させてもらったけれど、彼女の音楽はまるで昔からそこにあったかのように、いつも自然で違和感がない。とても嬉しい。感謝です。
どこかにいるあなたへ届きますように。
↓ ↓ ↓
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近所の猫と私。 |
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兄と猫と私。 |
最近の声 ②
先日、太宰治の桜桃忌に、友人に小さな朗読会に誘われて選んだ「引っ越しの花」というエッセイ。声に出してみると、文字の後ろにある書き手の想いのようなものが透けて、柔らかく伝わってくるのが不思議だった。
『透明空間が見える時』(津島佑子著/1977年)より。
2022年4月2日土曜日
最近のこと
知人からおすすめされて『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』という作品を観た。私の仕事にも深く関わる内容だったので、他人事だと思えなかった。
マリオン・ドハティさんはキャスティングの先駆者といわれる女性で、アメリカ映画の従来のスターシステムを壊して、役者の外見よりも中身の魅力で勝負する“新しい主役像”を生み出すきっかけとなった人だった。
ドキュメンタリーの後半、質のいい作品を作ることよりも、どれだけ儲かるかが映画業界の主軸になっていき、その中で役者も演技の質よりその時どれだけ人気があるかが選ばれる基準となっていく。これはたぶん映画業界だけでなくて、あらゆる業界で起こりつづけて来たことなんだろうなと思った。
「どんなことも七代先のことまで考えて決める」というアメリカの先住民の教えがあるらしいけれど、大人でも子どもでもこんなふうに考える人間が地球上に増えていったら、確実に世界は変わると思う。すぐ利益を生まなかったとしても、長い目で見たら皆のためになり、利益にもつながるということがきっとある。
マリオンさんがキャスティングしたアメリカ映画の多くは、私が好きな作品ばかりだったし、今でも心に深く残っている。そしてこれからも残りつづけると思う。
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去年から始まった「一輪挿しシリーズ」のレコーディング風景。いつもたくさん笑いながら短い花の歌を収穫している。今回も、へんてこりんでカワイイ曲がいっぱいできた。
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撮影、てんこまつりさん。 |
妹の旦那さんオオクボリュウ君の個展を観に行った。ひとつのイメージがどんどん姿形を変えていく。絵は動かないのにショートムービーを観ているような錯覚になる。万物は流転する。不思議で、どこかふふふと笑えた。
PARCELギャラリーで5月1日まで。
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撮影、オオクボリュウくん。 |
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今日の寝たねちゃんのつぶやき☀️
2022年3月6日日曜日
お知らせ
2022年1月19日水曜日
『SELF AND OTHERS』
映画のコラム「やっほー!シネマ」の20回目がアップされました。今回ほど、書くのを途中で投げ出したくなった回はなかったかもしれない(って毎回言ってるか…)。私にとってこの二年間は、やはり自分自身と向き合う時間が多かった。今回のコラムで取り上げた作品は、その流れの終点のような場所で出会ったような気がしている。とにかく、最後まで書けてよかった。
どこかにいるあなたへ届きますように。
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2018年自主公演『午後の光』の稽古場写真より。 |
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この間、牛腸茂雄さんの写真集『SELF AND OTHERS』をめくっていたら、最後のページにこんな引用文が載っていた。
「ある人間にとって世界を生き生きとしたものにするために、あるいは人がそこに身を寄せている現実を一瞥で、一つの身振りで、一つの言葉で味気ないものにしてしまうために、もう一人の人間ほど効果的な作因は存在しないように思われる。」(E.ゴフマンの言葉)
2022年1月6日木曜日
二〇二二年です
初雪が降った。
夜、暖かく着込んで露天風呂のある銭湯まで歩いて行く。人も少ないし、雪を眺めるには絶好の場所だった。
去年始めたインスタグラムが、気づいたらお花畑みたいになっていた。ふとしたことから始まった「一輪挿しシリーズ」ももうすぐ季節が一巡りする。
ずいぶん歌に救われた一年だった。どんなに気分がふさぎ込んでいても、歌の練習のためにいつも口ずさんでいたから、端から見たらご機嫌な人にしか見えなかったかもしれない。一緒に作ってくれているミュージシャンの斉藤友秋さんには感謝しかない。
この間、私の一行詩がだんだん底をついてきいたので(斉藤さんの作曲の方は絶好調)、「ちょっとインターミッション入れましょうか…」と言いかけると、「いや、これからが面白くなるよ」と斉藤さんはさらりと言った。行き詰まったあとに出てくるものを信じている人なのだなあ。
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