2019年12月31日火曜日

二〇一九年最後の日


今年もいろいろあった。けど、もうよく思い出せない。
少しでも書いておくと忘れないのかなあ…。
まあいいや。きっと体験したことや心を動かしたことは、自分の体のどこかに残っていくものだと信じておこう。

最後に、最近よく聴いている曲をどうぞ。
それでは、よい年末を!


2019年12月11日水曜日

生みの母、育ての母


去年の冬、海に囲まれた島、長島で生まれた映画『夕陽のあと』がようやく完成した。この作品の中で私は育ての母親を演じた。血の繋がりはなくても、誰かを、何かを深く愛することが出来ることを知った。

そして今年の夏、「少年寅次郎」では寅次郎の生みの母親を演じた。理由があって自分では育てることが叶わなかった母親の身を切られるような辛さ、そして離れていても我が子を想い続ける深い愛を知った。



11月9日(土)は、映画『夕陽のあと』の舞台挨拶で新宿シネマカリテへ向かいます。
そして同じ日の夜には、NHKドラマ「少年寅次郎」で寅次郎の生みの母親「お菊」として登場します。

どちらの母もぜひ。

↑挨拶文

★追記★
12月17日に『夕陽のあと』の舞台挨拶・トークショーがあります。映画のことなど思い出しつつ、ゆっくり話せたらと思っています。撮影から一年経ったからこそ話せることもあるかなあと。お待ちしています!

詳細です↓
📌アップリンク吉祥寺 12/17(火) 12:10からの回上映後。
登壇者:山田真歩、越川道夫監督


2019年12月4日水曜日

関西弁バージョン


「なんかよーわからへんけど、気になる」とか、
「言葉にならへんけど、なんか好き!」とか、そう思うことがよくあんねん。

言葉にならへんものは伝わりにくいねんな。
わかりにくいものは広がりにくいねんな。めっちゃ時間かかるやろ。
わかりやすいものは、すーぐ流通すんねんな。
記号とか情報とか数字とかは、誰の目から見ても明かやもんね。
誤解とか誤読のしようもないし。迷子になることもない。
せやけど、そんなんばっかの世の中はおもろないねん。

白黒はっきりせぇへん曖昧なものたち。
「つかんだ!」思ったらもうちごてるものたち。
束ねようとする言葉の間を煙みたいにすり抜けるものたち。
そういうものたち、いっつも「がんばれー」思うねん。
ま、時々「どっちやねん!」ってつっこみたくなるけどな。

ちゅうわけで、ピントスコープ第11回目更新やで!
     ↓ ↓ ↓



ときどき無性に関西弁を喋りたくなるときがある。デタラメの関西弁を喋っているうちに不思議と肩の力が抜けていき、「ま、そんな肩肘はらんでもええんちゃうん? 眉間にぎょーさんシワ寄っとるで〜」みたいな気分になってくる。テレビのニュースとかも、関西弁で事件を伝えるニュースキャスターがいたら印象はだいぶ変わる気がする。
なんだろうこの魔力…。試してみてください。おすすめです。




2019年10月2日水曜日

OUR DAILY BREAD

「やっほー!シネマ」の第10回目が更新されました。
今回のテーマは「食」。食べることを通じて、今の私の日々の中から見えたこと、感じたことを書きました。


先日、『大人ごはん Vol.3』という雑誌の中で「食べること」について対談をした。メンバーは古書コクテイルの店主・狩野さん、『大人ごはん』編集長の室谷さん、そして私。それぞれがその場で料理をつくって、それを囲んで食べながら語り合うというとても面白い会だった。
私は映画『夕陽のあと』の撮影も近かったので、漁師料理を参考に、鰤のなめろう、蛸とジャガイモの煮つけをつくった。狩野さんは酒粕入りの味噌ラーメン、室谷さんは小林カツ代のトマトスープ(どれもとても美味しかった!)。
石垣島の焼酎を飲みながら、話しは料理のこと、芝居のこと、結婚のこと、あちこちに飛んでいき……。たくさん笑った。
(ごはんと文化と生きることが好きなすべてのオトナに送る雑誌)



2019年9月24日火曜日

ハン・ガンさんの本


ある時期から小説が読めなくなった。
その頃いろんなことで心が傷き、人間の心を扱う小説を読むのがしんどくなってしまったのだ。最後に読んだ小説は、確か『死の棘』だったと思う。
私は小説の代わりに、詩や軽いエッセイを読み始めた。もう小説には夢中になれないんだと思うと残念だった。
でも最近、一冊の本に出会った。ハン・ガンさんの『菜食主義者』という小説だった。小説を夢中で最後まで読めたのは何年ぶりだろうか。そんな作品に出会えたことが、純粋に嬉しかった。

ハン・ガンさんの文章を読むと、心の一番奥の柔らかい部分が震える。そこはいつもは蓋をして隠しているところ。分厚く鎧をかぶって、少し鈍感になっていないと、いろんなことにいちいち傷ついてしまうから。
だけど、彼女の書く文章や声に触れるとその場所が柔らかく開き始める。「傷つきやすいこと」がとても大切なことのように思えてくる。むしろ失ってはいけない宝物なのだと思えてくる。
「どうか、心に鎧をして生きないで」
「なるべく裸の心のまま、震えて立っていて」
そんなふうに私に語りかけてくるように思うのは、きっと彼女がそのように世界と向き合っているからだろうと思う。
どれだけの傷に彼女は耐えて来たのだろう。

時々、「ああ、今ウソをついてしまった」と思うことがある。
心にも思っていないことを言ってその場を切り抜けてしまったと。そのようにして出てきた空っぽの言葉は、誰の心にも届かないし、何より言った自分が苦しいのに。
心の一番やわらかいところから出てくる飾りのない言葉。
そういうものが、いつの間にか消えないようにしたい。





2019年8月3日土曜日

八月になった

最近、平和について考えていた。
平和。……なんだかテーマが大きいし、漠然として難しい。
じゃあ逆に、私にとって“平和じゃない状態”ってどんなだろう?
そう考えてみると、とてもシンプルだった。ユーモアの欠如した状態。笑いが消えた世界。
心の底から笑うときが一番幸せだと感じる。

モンティー・パイソンのコントに「Philosophy Football(哲学者サッカー)」という作品がある。ドイツ対ギリシャのサッカーの試合なのだけど、選手は一度くらい名前は聞いたことのある有名な哲学者たち。ホイッスルの笛がなっても、誰一人ボールを蹴ろうとしない。レフリーの孔子からイエローカードをもらうニーチェ。ベンチで体を温めているマルクス……。
私は昔、この作品を見たとき腹の底から笑ったし、なんて知性のある大人たちなんだろうと思って憧れた。



今回の映画コラム「やっほー!シネマ」のテーマは、ずばり“平和”について。
「この2019年に30代を過ごす身だからこそ綴れる、“平和”のかたちがあるのではないか」と、編集担当のMさんから提案されて。
私はどんなことを考えているんだろう、と心の中を覗きながら書いてみたら、こんな文章と四コマ漫画が出来上がった。
 ↓  ↓  ↓
PINT SCOPE 「山田真歩のやっほー!シネマ」第9回



2019年6月5日水曜日

ポエトリー/アグネスの詩

ピントスコープの連載の第8回目が公開されました。
       ↓

今回はイ・チャンドン監督の『ポエトリー/アグネスの詩』という作品について書いてみました。コラムのバランスを考えて、「次はコメディにしようかな」とか「アニメについて書いてみようかな」とかいろいろ思うのだけど、やはり自分の心の琴線に触れるものを書こうと思うと、今回観たような作品になる。

悩ましいことに、「いいな」と思う作品ほど言葉にならない。だからこれまでは「いいな」と思っても自分一人の心の中に秘めて大切にしてきた。言葉にした途端になにかが限定されて失われるような気もして……。でも、そうすると広がっていかないということにも気づいてきた。こういう作品がもっと増えてほしいと思うし、誰かとわかり合いたい・共有したいと思ったので、うんうん言いながらなんとか言葉にしてみました。
どこかの誰かに伝わったら嬉しいです。




2019年5月27日月曜日

ワオ!

なにこれ、凄いな。久しぶりに興奮して眠れない…。何度も観ちゃうな。
音楽も、歌詞も、映像も、全部凄い。



2019年4月15日月曜日

春になりました


ピントスコープに文章がUPされました。
今回は映画『男はつらいよ』について。ひょんなことから四十九作すべて観ることになり、寝ても覚めても「寅さん」のテーマソングが頭の中で流れる日々を送っていました。
第六回「季節外れの腹巻き
第七回「トラ(寅)ベラ・ノー・リターン 旅人帰らず」

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昨日は、去年の夏にやったお芝居「午後の光」のメンバーで久しぶりに集まった。それぞれの知識を持ち寄り、いろんなワークショップをした。
フルーツと即興してみたり(たとえば「バナナ」とか「レモン」とか名前がついているけれど、その名前をなくしてみて、まるで自分が初めて「それ」を目にするかのように果物を感じる)、他人の喋り方や仕草を模写したり(太田省吾さんのインタビュー動画を見ながら、仕草や表情、喋り方を真似する)、詩の朗読をしたり。たくさん笑った。



この間、「午後の光」で音楽を担当してくれたてんこまつりさんに「音」の話を聞きにいきました。彼女の曲の、静かに寄り添っている何か小さな影のようなものの感じが好きです。曲の印象と変わらぬ容姿でかわいらしく、いつでも音への敬意が溢れています。
ピアノの音を鳴らしながらいろいろな話をしたのだけど、一人で聞くにはもったいないような気がしたので、話の一部を公開します。興味のある方は聴いてみてください(目次の数字は話している内容の時間の目安です)。

音の目次

1 いろんな音を鳴らしてみる 
5 音の日記 
6 音を鳴すと世界が始まる
9 森、海、そして夜の音
14 都会、いとなみの音
18 感情を音で表してみる
31 深海を泳ぐクジラのような
33 てんこリズム
43 鏡としてのピアノ
45 鳴っちゃったものに共鳴していく
49 音をよく見る
54 『絶対音感』の前書きを読む
58 いちばん遠くから聞こえる音を聴く