去年の年末から始まった「やっほー!シネマ 〜対話編」の中で、ベートーヴェンの交響曲第九番のことに触れた。
「おお友よ、このような音ではない! そうではなく、もっと楽しい歌をうたおう。もっと喜びに満ちたものを!」と、それまでの雨雲を振り払うかのように、最後の最後で圧倒的な光の洪水の「歓喜の歌」が始まる。それを聴いて、まるでオセロゲームのように黒一色だった盤面が、白色にひっくり返されていくような気持ちになった、というような話。
それ以来、気づくといろんな場所でベートーヴェンの「喜びの歌」を耳にする。映画館で観た『ノスタルジア』の中で。ノゾエ征爾さんの舞台『マクベス』の中で。友人に誘われて観に行った舞台『スプーンフェイス・スタインバーグ』(安藤玉恵さんの回)の中で。偶然出会った方に教えてもらったブータン料理店の店内で・・・。
それぞれ曲のアレンジや状況は全く違ったけれど、私にとっては今年始まってから途切れなく聴こえてくる応援歌のようで、なんだか嬉しい。
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先日、「やっほー!シネマ 〜対話編」の第三回目のゲストに来ていただいた方と、都内のとある場所(面白い空間だった)で収録してきた。何時間かの対話が終わったあと、しばらく何も考えられずに放心してしまったくらい、濃密な時間だった。いろいろなことを話していただき、感謝です。
何週間か前の打ち合わせの時、そのゲストの方の心に残る映画を二本選んでいただいた。そのうちの一本に小森はるか監督の作品があり、「新作をぜひ紹介したいのだが、残念ながら今のところ公開が決まっていなく、自主上映先を探している状況らしいです」とのことだった。でも、つい最近、なんと新作の上映が決まったらしく、「対話篇」の収録に間に合って、ご紹介することができた。なんとも嬉しい偶然だった。
映画『ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ』。四月十二日よりフォーラム福島で先行上映、四月二十七日よりポレポレ東中野ほか全国で順次公開。
ポッドキャスト「やっほー!シネマ 〜対話編」第三回目は、桜が満開になったころ、配信の予定です。お楽しみに。🌸