松家仁之さんの長編小説『沈むフランシス』の文庫版に、「解説」を書かせていただきました。
小説の「解説」を頼まれたのは初めてのことだったので、「私にできるだろうか?」と不安と畏れ多い気持ちでいっぱいになりました。でも、『沈むフランシス』を読み終えた時、まるで見えないところからスッと光のバトンを渡されたような暖かい気持ちになりました。
松家さんの他の小説も読んでいきましたが、どの作品も読み終わる度に、いつも見えていた風景が違って見えるのが不思議でした。
それは周囲が変わったのではなくて、今まで気づいていなかったものが見えてきて、これまで知らなかった物事の捉え方を知ることができたからなんだと、しばらくして気づきました。
一人でも多くの方に、この物語が静かに広がっていくことを祈ってます。
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新潮社のWEB雑誌「yomyom」にて、小説『沈むフランシス』の「解説にかえて」の文章の一部と、私の朗読が公開されました。
音楽は、「やっほー!シネマ」の連載でいつも素敵な音を添えてくれた、てんこまつりさんがつけてくれました。私が言葉にしきれず、もどかしかった”何か”を、音として空間に響かせてくれた気がします。感謝です。
彼女は『沈むフランシス』を読んだあと、こんな感想を送ってきてくれました。
「星々は美しく調和し、宇宙を奏でていた」という私の好きな言葉があります。古代ギリシアのムジカムンダーナ(宇宙の音楽)というものについての言葉なのですが、それは最も崇高な音楽であり、楽器で奏でる音楽はあくまでその音楽を体現したものであるとされていました。
小説を読んでいる間は、耳に聴こえてくる音ではない音にずっと耳を傾けているようでした。音をつけるとしたら、小説の中に聴こえてきた“音”と、真歩さんが役者の道を歩いてきた旅路の“音”なのかなと思います。よく耳を澄ませて、その音を探ってみたいと思いました。
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少し長いですが、ゆっくり聴いていただけたら嬉しいです。