2016年12月12日月曜日

急がば回れ

最近、チャレンジしていること。 
左手で書き、食べること。 
山を歩くこと。 
3月のマラソン大会に向けて走ること(人生初!) 
詩吟と日本舞踊の発表会に向けて練習。 

この間、漫画家のつげ忠男さんに『なりゆきな魂、』の舞台挨拶でお会いした時、「最近、右手が言うことを聞かなくなってきて、線を引いて離すとき、ピッとヒゲを描いちゃうんです」と話されていたのが印象に残って、それがきっかけで左手を使うようになった。二週間が経ってお箸で食べるのはなかなか上手になってきたけど(納豆以外)、書く方は相変わらず難しい。ゆっくりしか書けないため、いろんな発見がある。

↑ 左手で書いたランニング表。

最近、読んでいる本。 
夏目漱石『門』、『荘子』、『長田弘全集』、『大野一雄 稽古の言葉』。 

この間、生まれてこの方、夏目漱石しか読んだことがない人と知りあった。宇田さんという文章の上手な年上の女性で、宇田さんは10代の頃から夏目漱石だけを繰り返し読んで来たという(ただし、2011年の大きな地震があった後は新聞もとって読むようになったとのこと)。「一番好きな作品は?」と私が聞くと、『草枕』と笑顔で即答した。
また、生まれてこの方、詩しか読んだことないという人にも会った。河合さんはロウソクを作る仕事をしている。彼からマヤコフスキーというロシアの詩人をお勧めされて読んでみたけれど、頭がちんぷんかんぷんになった。「これはね、意味じゃないんだよ。とにかく早口で読んでみて」と言われて、早口で読んでみたけれど、ちんぷんかんぷんのままだった。

もし、世界が言葉でできているとしたら、夏目漱石だけを読んできた人と、詩だけを読んできた人では、ずいぶん世の中の見え方が違うんだろうなと思った。


2016年11月8日火曜日

お知らせなど

感想を言葉で伝えるのがムズカシイことがあります。
言いたいことがあるんだけど、言葉にすると違うような気がして(まあたいていのことはそうなんだけど…)、黙ってしまったりモゴモゴお茶を濁したり。でもそうしているとどんどん伝えるのが下手になってくるので、これからは頑張りたいです。
この前に観た「ジョギング渡り鳥」(鈴木卓爾監督)もそうで、何て言ったらいいのか分からなかったので、四コマまんがにして卓爾さんに渡したらたいそう喜ばれた。そうか、これからはこういう方法もいいな、と思ったのでした。この作品は、11月23日に第8回TAMA映画賞にて再上映されるとのこと!




今月、伊参スタジオ映画祭に行きます。
ここは、なんというか素敵な場所なのです。山の中の小さな廃校になっている入口には「入場料は笑顔です。どなたでもどうぞ」と書いてあります。わたしはここで澤田サンダー監督の「ひかりのたび」という作品に参加しました。撮影の期間中に近くに住む方々が温かい手作りのご飯をつくってくれたり(どれも美味しかった!)、そうめん流しの台を竹でつくってくれたり。わたしも撮影の最終日に「手伝いたい」と言うと快く迎え入れてくれました。エプロンを借りて三角巾をつけ、ハンバーグ用の玉ネギを炒めたり、キュウリを切って浅漬けにしたり、トマトを湯剥きして砂糖につけたり。みんなでお喋りしたり笑いながら料理できて、楽しかったなあ。

この映画祭では、夜の校庭でプロジェクターに映画を写してみんなで観るそう。暖かい格好をしていらしてください、とのことでした。わたしは20日に行きます。来てね!(近くに四万温泉もありますよ〜♨️)

伊参スタジオにて(撮影・高川裕也さん)

2016年9月29日木曜日

ある朝のインタビュー




長野県の友人宅にて。
この間、朝ご飯を食べながらむにゃむにゃと話した音源が送られて来た。「15名の人に同じ質問をして語った音源を展示する」という企画らしい。質問してくれたおぐっさん(友人の旦那さん)の声は編集でカットされていたので、なんだか独り言のような不思議な感じになっている。
どんな質問だったかというと… 

1 生きていくうえでこれだけは必要というものが何かありますか?
2 哲学があったら教えてください。
3 天才と呼ばれている人のことをどうおもいますか?
4 父上、母上の思い出などあったらおきかせください。
5 よく「幸せになりたい」という言葉をききますが、どんな形にせよ幸せになることが人生の目標だと思いますか?
6 好きな食べ物はなんですか? 好きな料理は?
7 これから世の中はどうなっていくと思いますか?
8 人間の怖さってなんだとおもいますか?
9 生き物と物との境はなんですか?
10 夢はなんですか?
11 世の中に言いたいことはありますか?
12 好きなことわざ、四文字熟語などはありますか?
13 毎日かならずしていることはありますか?
14 表現で大切な事は何だと思いますか? 
15 旅はすきですか? 
16 自分の名前は好きですか?
17 やさしさってなんですか?
18 影響を受けた人はだれですか?
19 これからしてみたいことはなんですか?
20 美しさとはなんだと思いますか?
21 最強の格闘技はなんですか?
22 ピカソは素晴らしいと思いますか?
23 子供のことをどう思いますか?
24 頭が良い人というのはどんな人のことだと思いますか?
25 愛とはなんですか?
26 世界の人々が仲良くするためにどうすればいいとおもいますか?
27 過去を振り返ってみてどうですか? 


などなど、朝からたくさん質問を受けた。また何年か後に聞かれたら答える内容は変わってるのかもしれない。他の人の答えも聞いてみたいと思った。

それと今からでも間に合うなら、いちばん最初の質問に「音楽」と「笑い」を入れたい。




2016年9月9日金曜日

裁縫中(追記あり)

ウクレレに続き、息抜きシリーズ。

9月末にやる展示に向けて四コマコースターをちくちくと縫ってます。
これは2コマ目の「カピバラくん」です。↓ 




他にも、四コマで完結する絵を四枚のコースターに縫ったものが並びます。
お近くの方はぜひふらりと寄ってみてください。コースター山田というペンネーム(?)で置いています。

「古布ASOBI」展   9/29(木)〜10/10(月)
新しい人
15:00〜21:00   火曜定休
東京都杉並区高円寺南3-56-5 105


大量生産できないのが惜しい。


(↓追記:始まりました。)


2016年9月2日金曜日

ウクレレを練習した日

ひょんなことからウクレレを買った。3千円の安いやつだけどね、気に入っている。
とても軽いのでどこにでも持って行けるし、ちょいと休憩って感じで散歩しながらでも弾ける。上手になりたい。


2016年7月14日木曜日

もやもやくんへの手紙




もやもやくんへ

一年前、何してた?
一年前、私は毎日海の底を歩いてた。
歩いているうちに心がどんどん固く重くなっていくのが分かった。
見ると、びっしりと白いものがこびりついてた。フジツボだった。
どんなに固い岩でこそぎ落とそうとしてもだめだった。
私はあきらめてそのかさぶたみたいになった心を抱えながら歩き続けた。

何日かたって、私は泣くかわりに笑うことにした。
フジツボが出てきたら、すぐに立ち止まってなるべく大きな声で笑った。
初めは難しくても、空元気でも、演技することならできた。
ずっと演技しつづけたらそれは本当になった。
もうすぐ陸は近いって、頭の上でちらちらゆれる太陽が教えてくれた。

もやもやくん、あの固くて白いものは何だったんだろう。
あんなことって、本当にもう二度と経験したくないよ。
あれはもう終わったって、フジツボは戻って来ないって、毎朝思いながら目を覚ますよ。





海の絵を買った。去年知り合った片山高志くんが描いた作品。
音楽が送られて来た。越川さんから。
どちらも、とても気に入っている。


2016年6月25日土曜日

牧野富太郎記念館へ行った日

おととい、高校時代からの友人のさやと牧野富太郎記念館へ行ってきた。
道中いろんな話をした。彼女は大学でアール・ブリュットを学び、長野の美術館で働いたあと、茅野に自分のギャラリーをつくった。その名もアノニムギャラリー。「アノニム」には「無名の」とか「匿名の」という意味があるらしい。たしかに有名な作家の作品は置いていない。私だって展示したことがあるくらいだから、その無名っぷりは徹底している。

電車の中で彼女が熱く語った。
「そもそもアール・ブリュットの定義はね、秘密、孤独、沈黙なわけ。だから『アール・ブリュット展』とか『アウトサイダーアート展』とかって、作品を発表したり評価をうけてしまうと、もうすでにそれはアール・ブリュットではなくなっちゃうわけ」
「ふむふむ。でもさやは、そういうものをギャラリーで展示しているんでしょ?」
「そうだよ。こっそりね」
「矛盾しているんだね」
「そうなの」

大泉学園駅近くのうどん屋でお昼ご飯を食べ、いざ記念館へ。
平日だったせいか、人も少なく静かだった。庭にはいろんな草木が植えられていて、一つ一つに名前が書いてあった。「道端でよく見るけど、あなたそういう名前だったの」という感じ。牧野さんが日夜研究した書斎もそのまま残っていた。ボランティアのおじさんが「彼は草花を探しに野原へ行くとき、いつもとびっきりのお洒落をして行ったんです。まるで恋人にでも会いにいくみたいに」と教えてくれた。
千以上の名もなき草花を発見しては名前をつけていったという。「金木犀」もそうなんだね。もし私が野の花だったら、牧野さんのようなネーミングセンスのある人につけてもらいたいと思った。

展示の一部に、牧野さんが書いた勉強心得が飾ってあった。20代の頃に書いたその15か条の抱負は死ぬまで実践されたという。私は、気がついたら立ったまま全部書き写していた。手がしびれた。





その間、友人は中庭のベンチに座って草花を眺めていた。雨が上がって、庭は木漏れ日でキラキラしていた。私が隣りに腰かけると、「いま、わかったよ」と言ってメモしたことばを見せてくれた。
「アールブリュットはまだ誰も足を踏み入れたことのない森のなかで木漏れ日を受けてひっそりと咲く美しい花だ」

私は親指を立てて、かっこいいじゃん、と言った。





2016年4月30日土曜日

『ヒップホップ・ドリーム』を読んだ日




映画「サイタマノラッパー」でラッパーの役を演じることになり、人生で初めてラップを聴き始めた日々のことを思い出した。
あの頃、THA BLUE HERBを聴いていたのは覚えているけど、私にとってラップは未知の世界だった。右も左もわからずに「ラッパー/初期/日本人」と検索したら、吉幾三の「おら東京さ行ぐだ」という曲が出てきて、とりあえずそれをヘビーローテーションすることから始まった。
それから毎日いろんなラッパーの曲を聴いていたら、あるときMC漢の「導〜みちしるべ」というCDを手にした。それを聴いたときの衝撃は忘れない。「この人の言っていることは本当だ!」と思った。たくさん聴いて、背中を叩いてもらった。

そして今日、漢の自叙伝を読み始めた。とても面白い。正直で、チャーミングな文章。
また、ラップをやりたくなった。

2016年4月24日日曜日

夜中に目がさめた


1
パチパチ、焚火の音がした古いレコードが回る音だったかもしれない
そよ風のようなギターが古い記憶を運んで来た
泣けない人のために泣く
死ねない人のために死ぬ
笑えない人のために笑う
それがあんたの仕事なのと、言われたような気がする
焚火のような、くぐもったにぶい光のような声だった


2
起きたときに、大爆笑していることがある。


3
私のともだちがタンポポを持って訪ねて来た。
どっちかっていうと、ナイフとか爆弾とかが似合う人なのに、その小さな黄色い花がよく似合った。嬉しいような寂しいような顔をして笑っていた。
そこで目が覚めて、メガネをかけて庭に出た。細かい雨が降っていて草木はしっとり濡れていた。私の小さな庭にはタンポポがたくさん咲いている。摘もうと思ったら、夜だからか雨だからか、みんな花びらを閉じて眠っていた。まあそうだよな、もう夜ふけだもんね。




2016年4月17日日曜日

台風が来た日


最近は、若木や花がなにやら美味しそうな色をしている。外で本を読んだり仕事をしたりしたい季節。



落ち葉がきれいだったのであれもこれもとたくさん拾って帰ったら、次の日にはもうみんな茶色になっていた。



詩吟を習い始めた。とても楽しい。今朝は台風だったので、カラオケボックスで一人で練習をしてみた。へんてこな気分になった。一緒に歌える詩吟友だちが欲しい。



2016年3月1日火曜日

もうすぐ春だと思った日


一年前、ノートにデタラメに訳したある曲の歌詞を見ていたら、当時の日々のことが思い出された。
なぜか、もうすぐ春だと思った。



夕方、カルビン・ジョンソンの歌を何度も聴いて歌詞のイメージを書き出してみた。いまのところ、こんな感じの歌詞が出て来た。





When hearts Turn Blue
ブルーになるとき

目が覚めたら そこは いつものブルー
部屋の隅 窓を眺める カーテンがゆれる ひゅー

はたまたブルー
あちこちブルー
見慣れたブルー

僕は魚になって 海の中にダイビング
潜っていく どこまでも
君が沈んでいく そのまわり 

はたまたブルー
あちこちブルー
ゆらゆらブルー

夢を見るために今日も眠る
深くて 青い 夢を
もしもし 今夜は どんな夢を見ていますか
もしもし 聞こえてますか 聞こえてますか どうぞ

だんだんブルー
ゆっくりブルー
一面ブルー

ブルーのまま朝が来て 今日一日のことを思う
10年後のことを思う
何もかわらないかもしれない 何も ただ青いだけ
目を閉じれば そこは いつものブルー

だんだん濃くなっていく
このブルーはきれい
このブルーの中で 漂っているだけ

だんだんブルー
ゆっくりブルー
目を閉じて そこは ブルー



2016年2月4日木曜日

季節が分かれた日

昨日は節分だった。
ひょっこりひょうたん島の舞台は九州までぐるりと旅をして、また東京に戻ってきた。
昨日は「福はうち〜!」とい言いながらみんなで豆を投げた。





朝、布団の中で山尾三省さんという詩人の本を読んだ。とてもよかった。


「全身微笑」

全身微笑という 特別な人格を
ぼくが体現できたわけではないが

まずはその言葉が 突然にやってきて
それは
足の先から 頭のてっぺんまでの
何億兆ともいう細胞たちのひとつひとつが
それぞれに微笑み

その結果として
このしかつめらしいぼくという人格も おのずから
ひとつの全身微笑に 成就し
まるで小原理恵さんの描く お地蔵さんのように

ほっこりと微笑している

という 本格的な願い つまり

全身微笑地蔵菩薩への 心からの発心が
今ここに 樹ちました

ぼくの全身の細胞たちよ だから これからは
さあ 咲(わら)って咲って 咲って咲って

(『祈り』より/野草社)












2016年1月8日金曜日

なかなか寝つけない日

寝なきゃいけないのに眠れない。
本も読んだし、映画も観たし、朗読も落語も聞いた。それでもだめ、そんなときみんなどうしているんだろうか。井上ひさしさんは「辞書を読む」と何かの本で書いていた(さすが日本語の鬼!)。私はといえば、ベッドの中でiPodでニルヴァーナを聴いている。ますます寝れなくなった。

今年の正月、私の中で突然ニルヴァーナが炸裂した。なんてカッコイイ音楽なんだ…。
そのまま勢いで、近くにいた父の髪の毛をカートコバーン風に短くカットした。
今年はロックの一年になる予感。


今日、人形劇「ひょっこりひょうたん島」のDVDを見た。
冒頭、火事になったビルの屋上で島人たちが困っていると、ドンガバチョ(自称大統領)が大声でこんな風に言った。
「皆さ〜ん! 飛び降りるのは怖いとか死んだらどしよ〜というような心の雑念をお捨てください。心を空っぽにしましょ〜!カラッポにした分だけ身が軽くなりますぞ」
そう言い終わると彼はこうもり傘をガバッと開いてビルの屋上からためらいもなく飛び降りた。

凄いな、と思った。私はどこまで空っぽになれるかな。
舞台「漂流劇  ひょっこりひょうたん島」もいよいよ明日から松本入り。福岡、大阪と周って、2月に渋谷シアターコクーンで千秋楽。がんばるぞ〜!