2022年12月25日日曜日

印象スケッチ


心揺さぶられる展示を観た

沖潤子さんの刺繍


祈りのテンポで

激しさと 優しさが クロスする

傷口をゆっくり修復するような糸の道


ひと月にひとつの祈りの形を縫い上げる

縫うことが祈り 沈黙し 手を動かす

いつも○から始まる 

小さな○ 

好きなだけ広がってく○ 

魂が納得するまで 

いつのまにか傷は模様になっていた


こんなふうに縫われてみたいのだ

こんなふうに縫ってあげたいのだ


言葉のない世界で

どこまでも


(後半の刺繍群を見て)


ひとつの○に、ひとつの魂

あまたの○が、凝固して形をなしている

あまたの○が集まって「レモン」になっている

たくさんの○が溢れて「ザクロ」になっている


言葉や名前はあとから来た

今だって本当は、

ただたくさんの○が集まっているだけ


すでにあるものと「まざりあいたい」と作家は語る

まざりあうためには

分け隔てるものをとりはらうこと

名前や言葉でくくられた存在を、

その呪縛から自由にすること 

ほどくこと