心揺さぶられる展示を観た
沖潤子さんの刺繍
祈りのテンポで
激しさと 優しさが クロスする
傷口をゆっくり修復するような糸の道
ひと月にひとつの祈りの形を縫い上げる
縫うことが祈り 沈黙し 手を動かす
いつも○から始まる
小さな○
好きなだけ広がってく○
魂が納得するまで
いつのまにか傷は模様になっていた
こんなふうに縫われてみたいのだ
こんなふうに縫ってあげたいのだ
言葉のない世界で
どこまでも
(後半の刺繍群を見て)
ひとつの○に、ひとつの魂
あまたの○が、凝固して形をなしている
あまたの○が集まって「レモン」になっている
たくさんの○が溢れて「ザクロ」になっている
言葉や名前はあとから来た
今だって本当は、
ただたくさんの○が集まっているだけ
すでにあるものと「まざりあいたい」と作家は語る
まざりあうためには
分け隔てるものをとりはらうこと
名前や言葉でくくられた存在を、
その呪縛から自由にすること
ほどくこと